【報告】第9回武蔵野市国際オルガンコンクールレポート(9/13, 14)
第9回武蔵野市国際オルガンコンクールが武蔵野市民文化会館をメイン会場に開催されました。
9月13日・14日の聖グレゴリオの家での2次予選、9日・10日の1次予選と17日の本選、18日の入賞者披露演奏会をもって閉幕しました。このコンクールは、1988年の第1回以来、4年毎に開催されている歴史と実績がありますが、世界的なコロナ感染の影響もあり、今回は6年ぶりの開催となりました。
今回のコンクールで優勝したのは、聖グレゴリオの家の創設者であるゲレオン・ゴルドマン神父が眠る墓地のあるドイツ・フルダ出身のニクラス・ヤーンNiklas Jahnさんでした。
2位は東方理沙さん、3位は浜野芳純さんの2人の日本人でした。最終審査結果は下記の通りです。皆さん、素晴らしい演奏を聴かせてくださいました。これからの活躍が期待されます。
次回第10回は、4年後の2017年に開催される予定です。
【審査結果】
第1位 ニクラス・ヤーン(ドイツ)
第2位 東方 理紗(日本)
第3位 濱野 芳純(日本)
第4位 ダニエル・ミニック(アメリカ/オーストラリア)
第5位 アレクサンダー・リトル(イギリス)
聴衆賞 東方 理紗(日本)
第9回コンクールは下記のスケジュールで開催されました。
日程 | 進行 | 会場 | 参加国数 | 人数 |
オーディション審査 | 16か国 | 67名 | ||
9月9・10日 | 1次予選 | 武蔵野市民文化会館 | 10か国 | 15名 |
9月13・14日 | 2次予選 | 聖グレゴリオの家聖堂 | 6か国 | 8名 |
9月17日 | 本選 | 武蔵野市民文化会館 | 4か国 | 5名 |
9月18日 | 入賞者披露演奏会 | 武蔵野市民文化会館 | 4か国 | 5名 |
本選のアーカイブは下記からご視聴いただけます。
https://www.youtube.com/live/DGoEAxMrS8A?si=dxFm1arBmkFQtGC6
また、課題曲など詳細については、このコンクール関連サイトをご覧ください。
パイプオルガン特設サイト (musashino.or.jp)
◆9月13日・14日の2次予選レポート
今回、9月13・14日の2次予選は聖グレゴリオの家聖堂のアーレントオルガンを使用して行われました。コンクールの1日目、2日目ともに16時から開催されました。演奏した8人のうち5人が17日に開催された本選に進出しました。
2次予選の課題曲: *と**はいずれかを選択し、演奏曲順は演奏者が自由に選択できます。
a) *ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク(1562-1621) : 戦いの神マルス
*ハインリヒ・シャイデマン(1595-1663) : トッカータ ト長調 WV43(***ロングバージョン)
b) ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー(1616-1667) : ウト・レ・ミ・ファ・ソル・ラによるファンタジア FbWV201
c) **ゲオルク・ムッファト(1653-1704) : 「オルガニストのための曲集」より任意の1曲
d) ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750) : フーガ ニ短調 BWV539
2日間にわたり、8人の演奏はどれも素晴らしかったです。実に表現力豊かに見事なフーガを奏でていましたし、音楽が持っている繊細な表現が聴こえたり、ある時は迫力のある演奏でした。結果として何が差を分けて、3人がなぜ次のステージに上がれなかったのでしょうか。甲乙つけがたく素人の耳には判断できなかったという印象でした。
この2次予選の審査発表が始まる冒頭(写真上)、審査員から「このような聖堂で演奏することは、奏者と聴衆が近くにいる空間であり、大きなホールで演奏する時とは異なる」というコメントが添えられました。聖グレゴリオの家を会場に開催した意味は、オルガニストが教会という空間で演奏するうえで、技術や心構えが必要であること強く意識しなければいけないのだと思います。これはとても興味深いコメントでした(H)。
審査発表時の動画は下のURLから視聴できますのでご覧ください(1’18″)。
◆2次予選の記録は下記から
演奏の模様はリアルタイムライブ配信されました。また映像記録もそのまま残っており、アーカイブから視聴できます。
また、2次予選の演奏は、下記のURLからご視聴いただけます。
〇2次予選1日目(9月13日)
https://www.youtube.com/live/PoYwnIQt5Fw?si=mSmH_MkGxJWgkaxk
〇2次予選2日目(9月14日)
https://www.youtube.com/live/zW3cI2EoA5I?si=DFcDOO2obGiQFGEW
◾️コンクールを聴いた感想
今回の2次予選を実際に聴いた当研究所のY講師から感想をお聞きしました。
「コンクールを聴いてまず思ったことは聖グレゴリオの家のアーレントオルガンが本当に良い素晴らしい楽器だとあらためて再認識したことでした。2次予選まで残ったコンテスタントの方々はさすがにアーレントオルガンを良く鳴らして素晴らしい演奏でした。この鍵盤はとても敏感なので、ある意味演奏するには怖い楽器です。しかし、音色は美しく、敏感であるがゆえ演奏者が表現したいことをタッチにより充分に表現してくれる楽器です。
コンテスタントにとっては緊張の中、聴衆もすぐそばで聴いているという状況は好ましくない状況だったかもしれませんが、自分が表現したい音楽を充分に歌ってくれるオルガン、表現力豊かな楽器と出会えたことは嬉しく、弾いている間も楽しかったのではと思います。
聖グレゴリオの家ではこのような素晴らしい楽器でレッスンを受けられて受講生は幸せだと思います。まだ楽器の素晴らしさがわからず弾くのが怖いばかりの受講生もいらっしゃると思いますが、教える立場からもオルガンの素晴らしさ、弾く楽しさが感じられるように指導していきたいと思います」。
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