Architecture

聖グレゴリオの家は,日本建築家協会(JIA)が選ぶ2006年の「JIA25年賞」に選ばれています。
この賞は,竣工後25年以上の建築のうち,「長く地域の環境に貢献し,風雪に耐えて美しく維持され,社会に対して建築の意義を語りかけてきた建築物」を表彰し,あわせて「その建築物を美しく育て上げることに寄与した人々(建築家,施工者,建築主また維持管理に携わった者)を顕彰することにより,多様化する価値基準の中で,建築が果たす役割をあらためて確認するとともに,次世代につながる建築物のあり方を提示することを目的として創設された」(JIA)建築賞です。

「新しい建築物を対象にする他の賞と違い,日本の建築の賞の中で最も受賞したいものでありました。私たちが地味ではあっても今までやってきたような建築の作り方が正しかったのだ,という証明を得た事は大変嬉しく思っております。」(建築家:長島正充氏 談)

建築家:長島建築研究所  長島正充
建築主:宗教法人  聖グレゴリオの家
施工者:(株) 新建会工務所  市野修
竣工:1979年8月


◆ 建築の理念

-目的を実現するための空間
祈り,研究,教育,の3つの目的を達成する具体的内容作りと同時進行で,建築設計が進められた為,各活動の規模,内容,係わる人数,年間日数等々,全く解らない状況で設計を進めなければならなかった。そこで,設計者があらかじめ内容を予測し決断する必要があった。その為,或る意味で建築が活動の規模と内容を支配することもあった。3つのコンセプトの具体的な在り方を1800平米の小さな空間に実現することは大変難しく,設計者も苦慮したところであった。

祈りと音楽の実現の場,祈りの共同体の場,教育と宿泊の場,この3つの活動エリアの交点に鐘楼を置き,一般人も参加する中央広場と共同体の回廊空間である中庭とを,回廊が軽い意味の仕切りを見せて奥行きを深く感じさせている。

聖堂は1/4円空間で,起点から円形の波が外へ広がるという意味で同心円ではなく,起点が1つずつ中央へ移動している。
起点の下に祭壇があり,抽象的な空間にもかかわらず,きわめて救心力の強い祈りの空間を実現している。

◆ ギャラリー「聖グレゴリオの家と四季の花々」


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