Greetings

新理事長の挨拶は近日中に紹介いたします


ごあいさつ

前聖グレゴリオの家 理事長 宗教音楽研究所 所長
橋本周子(はしもと・ちかこ 教会音楽家)

1937.1.2-2024.3.25

聖グレゴリオの家は,教会音楽の研究,保存,普及を目指して1979年に設立いたしました。以来,大変にゆっくりとした歩みではありますが,祈り,研究,教育の三本の柱を中心として,その目的に向かってさまざまな可能性を試みてまいりました。

キリスト教の典礼と典礼音楽を考えるとき,欠かすことのできないグレゴリオ聖歌をはじめ,キリスト教会が宝としてきた音楽の保存,私たちにとっての賛美の音楽のあり方,特に日本の文化,伝統をふまえたうえでの賛美の可能性を探してまいりました。新しいものを追求し,現代に対応していくためには私たちの持っている伝統文化―しかも地方色にとらわれない―の上に立ってこそ何かを見出せると考えているからです。

「教会音楽の真の目的が,神の栄光と賛美,信者の聖化にあることを思うとき,その実践の前に,永遠の神への礼拝―祈り―なくして,その真髄に達することは出来ないでしょう。日々止むことなく捧げられる礼拝から,すべての活動が流れ出るのです。」

これは聖グレゴリオの家の創立者ゲレオン・ゴルドマン神父の,設立に当たっての言葉です。典礼行為は人間の行いの中でもっとも尊い行為であり,音楽はそこから生まれ,発展してきたものであるということに創立者は徹底しておりました。

以来,ローマ・カトリックの典礼を守りながら,研究,保存,普及,教育にと試行錯誤を重ねて今にいたっております。創立当初から宗教・宗派を超えて多くの方々との関わりの中でその活動を続けていることも,この家の特色と言えるでしょう。芸術は人類共通の財産であり,音楽は人びとの心と霊の言葉であり,糧となるものです。ここに境はありません。ここに調和の営みを見出したいと望んでいます。

現在150名いる教会音楽科の修了者が,それぞれの立場で充実した活動を続けていることは大変に喜ばしいことです。

2005年11月30 日,聖グレゴリオの家は教皇庁の承認を得て,ドイツ国立レーゲンスブルク教会音楽・教育音楽大学と提携しました。この提携により,「教会音楽B」(ドイツ国家資格で,教会音楽における学士の学位)と「教会音楽C」の資格が日本においても取得できるようになりました。

教会音楽家としての資格は,日本の社会において専門職としては成り立ちませんが,その資格を得ることによって教会音楽に対して確信を持ち,教会音楽家としての責任ある務めを果たすことができるようになることを考えております。また学ぶ人にとっては,ドイツ国立レーゲンスブルク教会音楽・教育音楽大学との交流の可能性も生まれ,大きな目標と励みになることと思っております。

祈りと音楽をとおして,聖グレゴリオの家が人びとの安らぎの場となることを願っています。

→ top