「聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所」は,祈り,研究,教育を目的として,1979年,フランシスコ会士故ゲレオン・ゴルドマン神父(Gereon Goldmann OFM, 1916-2003)を中心に設立されました。以来,大変にゆっくりとした歩みではありますが,祈り,研究,教育を三本の柱に据え,その目的に向かって様ざまな可能性を試みてきました。ディアスポラとして,ローマ・カトリックのみならず,他教派との交流も計り,創設当初から合同礼拝などエキュメニカルな活動もおこなってきています。 |
創立者 ゲレオン・ゴルドマン神父 |
◆ 創立者 |
聖グレゴリオの家の創立者,故ゲレオン・ゴルドマン神父は,1954年宣教師としてドイツ・フルダから来日し,24年の間,東京板橋の聖エリザベト教会で主任神父として働いたあと,東久留米市に宗教音楽研究所を設立し,理事長及び研究所長を16年間務めました。来日直後,まだ戦争の傷跡の残る日本で,自ら廃品回収を収入源に生活しつつ,これを組織化して奨学金制度をつくり多くの学生を助けた「屑屋の奨学金Lummensammler-Studienstiftung」の活動でもよく知られています。日本における最後の仕事として,典礼と教会音楽の醸成のために力を注ぎ,40年間の日本宣教の使命を全うなさいました。1994年,健康上の理由でドイツ・フルダのフランシスコ会フラウエンベルグ修道院(Kloster Frauenberg)に戻られましたが,2003年7月26日,同地で帰天なさるまで,常に聖グレゴリオの家のためにお祈りくださり,支援を続けてくださいました。ナチス政権下での従軍生活,アルジェリアでの捕虜生活,捕虜収容所での司祭叙階など,来日までの激動の半生を綴った自叙伝『死の影 慰めの光』(宮本絢子訳,鳥影社,2008年,原題:Tödliche Schatten – tröstendes Licht, EOS Verlag)は,英語や韓国語をはじめ17ヶ国語に翻訳されて今に読み継がれています。 |
◆ 特徴 |
創立者ゲレオン神父は,「教会音楽のまことの目的が,神の光栄と賛美,信徒の聖化にあり,その実践の前に神への礼拝-祈り-なくしてその真髄に達することは出来ない。日々止むことなく捧げられる礼拝からすべての活動が流れ出る」との考えから,人間の最も尊い行為は典礼を祝うことにあるという強い信念を持っておられました。 青年時代にロマーノ・グァルディーニ(Romano Guardini, 1885-1968)の典礼運動に加わっていたこともあって,ゲレオン神父は,聖グレゴリオの家の活動の中心を典礼においておられました。創立者の理念に基づいて,聖グレゴリオの家は設立以来,ベネディクト会の霊性と典礼を活動の模範としています。 1993年にはドイツにあるベネディクト会の大修道院,ザンクト・オッティリエン大修道院(Erzabtei St. Ottilien)との出会いに恵まれ,現在30名を越すOblaten(献身者の意,ベネディクト会の第三会の名称)がザンクト・オッティリエン大修道院との連携のうちに,祈りと奉仕に根ざす生活に努めています。 |
◆ 沿革 | |
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1977 | 設立準備委員会発足(白柳誠一大司教,松田智雄,柿内賢信) |
1979 | 聖グレゴリオの家創立 ゲレオン・ゴルドマン神父初代理事長兼研究所所長就任 シンポジウム「これからの典礼と音楽」 第1回 水嶋良雄,野村良雄,チースリック神父 第2回 高田三郎,土屋吉正神父 |
1980 | 教会音楽科,古楽科開設,聖歌隊発足 |
1981 | 教会音楽講習会始まる 友の会発足 |
1984 | 少年少女聖歌隊発足(~ 1989) |
1986 | アーレントオルガン祝別式 |
1987 | 古楽科サマースクール始まる(~ 2001) |
1989~90 | 聖グレゴリオの家創立10 周年記念行事 |
1990 | 聖歌隊,グレゴリオ聖歌ソレム研修旅行 |
1993 | 東京ドイツ文化センター主催「聲明とグレゴリオ聖歌」に聖歌隊出演 |
1994 | 創立者ゲレオン神父ドイツへ帰国 橋本周子研究所所長に就任 |
1997 | ミッション・ベネディクト会聖オッティリエン大修道院のオブラーテ 第1回誓願式 |
1999 | 創立20 周年記念ミサ 司式:ローマ教皇庁大使 A. de パウリ大司教 ゲレオン神父訪問来日 |
2002 | 聖オッティリエン大修道院長エレミアス・シュレーダー理事長就任 |
2003 | 聖グレゴリオの家創立者 ゲレオン神父帰天(7月26日) |
2004 | ゲレオン神父1周忌記念追悼ミサとコンサート(フルダ・フランシスコ会フラウエン ベルク修道院聖堂にて,出演カペラ・グレゴリアーナ) |
2005 | ドイツ国立レーゲンスブルク教会音楽・教育音楽大学と提携 |
2006 | 第1回「教会音楽B」および「教会音楽C」資格取得試験 |
2008 | 北側隣地 713㎡ 購入 |
2009 | 創立30周年記念ミサ 賛助会設立 |
2012 | 建築委員会・カリキュラム委員会・将来構想委員会設置 2014年に向け「教育改革案」を作成 |
2013 | 賛助会主催「グレゴリオの旅~伝統と文化を訪ねて~」 |
2014 | エレミアス・シュレーダー理事長退任 クラウディウス・バルス神父理事長就任 |
2017 | 新音楽棟(通称「ハッチハウス」)竣工 聖グレゴリオの家創立者故ゲレオン・ゴルドマン神父生誕 100 年記念「オルガンと合唱によるクロージングコンサート」 |
2018 | クラウディウス・バルス神父理事長退任 ラバヌス・ペトリ神父理事長就任 タルチシオ菊地功東京教区大司教理事就任 |
2019 | 臨床音楽セラピスト養成科を設置 創立40周年感謝ミサ 司式:タルチシオ菊地功東京教区大司教 橋本周子所長,ローマ教皇フランシスコより大聖グレゴリウス勲章を受勲 |
2024 | 橋本周子理事長・所長帰天 西脇純理事長、岩崎真実子所長就任 |