詩編に聴く―聖書と典礼の研究

聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所研究部門主催 連続講義

詩編に聴く―聖書と典礼の研究

2026年度の連続講義「聖書と典礼の研究」のお知らせ

今年度も4月から連続講義「聖書と典礼の研究」を継続する予定ですが、昨年度の繰り返しではなく、新しい内容を盛り込みます。講義の日程は、杉本ゆり先生の連続講義と同じ(隔週)火曜日の午前11時―12時30分になる予定です。

昨年度の私の連続講義では、敗戦によって亡国の危機に直面した日本のキリスト者南原繁の東京大空襲直後の祈りから始めました。 聖書の「詩編」もまたそのような民族の精神の危機からうまれた祈りにほかなりません。 私の講義では、アウグスチヌスの注解など教父たちの著作を手引きとして、イエス・キリストに倣う者が、旧約聖書の詩編をどのように霊的に解釈したかを中心にしてお話ししました。

昨年の春学期の講義は、教皇様の交替の時期にあたりましたので、第一回講義では、故フランシスコ教皇の「復活祭のメッセージ」を読み、回勅「ラウダート・シ」とアッシジのフランシスコの賛歌をとりあげました。 また第二回講義では、新教皇レオ14世のシスティナ礼拝堂でのラテン語ミサの「回心の祈り」を聴き、キリスト者がミサに与る前におこなう「回心」の意味を省察しました。 また、広島と長崎をはじめて訪問された教皇ヨハネ・パウロ2世の著作、『希望の扉を開く』や『おとめマリアのロザリオ』を読み、核廃絶と平和への祈り、その根柢にあるキリスト教の霊性の伝統に触れました。

今年の講義では、第二バチカン公会議の典礼刷新の推進者であるとともに、ラテン語による伝統的なミサをも重視されたベネディクト16世の書かれた著書、『典礼の精神』や『ナザレのイエス』を参考書として取り上げる予定です。 講義の目的は、ミサ典礼や聖務日課における聖書朗読と詩編朗詠の緊密な関連性を考察することによって、グレゴリオ聖歌の中に生きている「典礼の精神」を学ぶことにあります。

 

昨年開設したML掲示板 詩編に聴くー聖書と典礼の研究 ML – Google Groups

https://groups.google.com/g/ml-bible-and-liturgy-study

を今年も使いますので、ここに皆様の質問や感想をお寄せください。


時間: いずれも火曜日 11時~12時30分
場所: 聖グレゴリオの家・ハッチハウス

この講座はリアル(会場)とリモート(Zoom)を併用します。

聖グレゴリオの家にいらしてくださっても、リモートでもご都合に合わせて聴講できます。やむをえず欠席なさる方も講義録画と資料の配信をご覧いただけます。

受講料(2026年春学期5回分一括、資料代等含む):


《受講料の振込先は下記の通りです》※ 手数料はご負担願います。

*ゆうちょ銀行 口座番号 00120-8-61673

加入者名 宗教法人  聖グレゴリオの家

≪他金融機関からの振込用口座番号≫

〇一九(ゼロイチキュウ)店(019) 当座 0061673


お申し込みはこちらからどうぞ。

 

 

QRコードやフォームが使用できない方は申込書をお使いください。ダウンロードして記入いただくか、申込書の記載事項をメールに書き込んでいただいても構いません。

お書きいただいた内容をメール、FAX、郵送等で聖グレゴリオの家事務室までお問い合わせ・お申し込みください。

必ずメールアドレスをお書きください。

メールアドレス: info@st-gregorio.or.jp

TEL:042-474-8915 FAX:042-474-8832

〒203-0004 東久留米市氷川台2-7-12 聖グレゴリオの家


受付が済み次第、URLや受講票をお送りします。


講師:田中裕(聖グレゴリオの家理事、上智大学名誉教授)


2025年の講義内容

ヘブライの民は詩と音楽によって神と対話してきました。聖書全体の中枢をなす詩編はキリスト教の典礼において根源的な泉となっています。聖書注解と典礼的考察を通して詩編を多角的に学んでいきましょう。

1)4/22  講義の目的・詩編のテキストと表題・ユダヤ教・カトリック教会・正教会の典礼における詩編の位置づけ

2)5/13  グレゴリオ聖歌の伝統:詩編51に聴く―灰の水曜日の懺悔と賛美

3)5/27 詩編118に聴く―ペテロの証し―受難の民の希望

4)6/10  詩編148に聴く―アッシジの聖フランシスコの祈り・ラウダート・シに寄せて

5)6/24  詩編150に聴く―復活祭のアレルヤ唱にとアウグスチヌスの詩編注解

6)  10/7 正教会の伝統―ラフマニノフの「晩禱」を手引きとして

7)  10/21 詩編1,2に聴く―キリスト中心的な釈義の伝統

8)  11/4 新約聖書の賛歌:シメオン賛歌と聖母(テオトコス)賛歌

9)  11/18 6つの詩編の詠唱と復活賛歌

10) 12/2 日本のキリスト者と詩編

2025年のチラシはこちらから


講義要項

けふよりは詩編百五十 日に一編読みつつゆけば平和来なむか 

(南原繁歌集『形相』所収)

80年前、無教会キリスト者の内村鑑三の平和主義から大きな影響を受けた南原繁の読んだこの短歌は、東京大空襲の戦禍のさなかに詠まれたものですが、それはまた、敗戦後の日本が、平和な国として再出発するには何をなすべきか、その理念と祈りを聖書の詩編にもとめたものでもありました。内村鑑三と南原繁の平和への願いを想起しつつ、『詩編に聴く―聖書と典礼」という連続講義を行う予定です。この講義は内村鑑三の連続講義『聖書の研究』を手本としていますが、私は、内村があまり問題としなかった「(ユダヤ教・東方キリスト教・西方キリスト教の)典礼のなかの聖書」という視点をあらたに付け加えました。

カトリックの「教会の祈り(新しい聖務日課)」では、詩編が中心的な位置を占めています。主日の典礼、毎日の聖務日課(時課)に参加する者は、詩編150編のすべてを、様々な形態で、朗唱することになるでしょう。キリスト者の祈りは、ユダヤ教の典礼を母体としていますが、排他的な民族主義を克服して、すべての民と被造物の救済を目指すカトリック信仰に基づいています。

聖グレゴリオの家で歌われるグレゴリオ聖歌のラテン語テキストは、初代のキリスト者の世界の共通語であったギリシャ語聖書(七〇人訳聖書)に基づいています。新約聖書のなかの旧約聖書の引用は、基本的には詩編も含めて、この七〇人訳ギリシャ語聖書によりますので、新約時代のキリスト者の信仰を理解するためには、ユダヤ教正典のヘブライ語テキストだけでなく、ギリシャ語テキストに基づくキリスト者の詩編解釈の伝統を知ることも必要となってきます。

私の連続講義は2025年の復活祭の後から開始し、全部で十回を予定しています。
詩編の構成・作者・表題・内容の分類・キリスト者の詩編解釈の伝統・近代語訳(英語欽定訳など)日本語訳の比較など、詩編釈義に伴う様々な諸問題を論じる予定です。カトリック教会の典礼ではグレゴリオ聖歌が中心的な位置を占めますが、この講義では、復活祭に関連する詩編、とくに「詩編51に聴く―灰の水曜日の懺悔と賛美」「詩編118に聴く―ペテロの証し―受難の民の希望」「詩編148に聴くーアッシジの聖フランシスコの祈り・ラウダート・シに寄せて」「詩編150に聴く―復活祭のアレルヤ唱」など、カトリックの典礼と聖務日課に関連の深い詩編を幾つか選んで詳しく解説します。また、七〇人ギリシャ語訳聖書の伝統を継承する正教会の典礼で詩篇がどのように歌われているかを知るために、日本でもよく知られているラフマニノフの「晚禱(徹夜禱)」を手引きとして、その背景にある正教会の典礼で歌われる詩篇と新約聖書の賛歌を解説します。(田中裕)


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