【報告】日本の教会に響く歌 講師:松橋輝子(2/22)
研究部門主催の講演会「日本の教会に響く歌~日本語で賛美するということ~」
2月22日(日)15時から聖グレゴリオの家聖堂で開催されました。
今回講師として、キリスト教音楽の研究者の一人、松橋輝子(音楽学)さんが担当してくださいました。
日本における聖歌集の編纂の歴史では、19世紀半ば江戸時代末期以降長崎で「きりしたんのうたひ」(1878年)やパリ外国宣教会のル=レマシャルによって編纂された手書きの聖歌集から始まり、日本におけるカトリック教会の宣教において、フランス系修道会による「日本聖詠」とドイツ系修道会の「公教會聖歌集」(札幌、1918年)がそれぞれに聖歌を通じて翻訳されてきた経緯、それが1966年に札幌で発刊された「カトリック聖歌集」に至っていることを説明してくださいました。こうした聖歌がどのようにして歌われてきたのかなど、歴史的にひも解き声を出して歌うこともできました。とくに楽譜が五線譜ではなく、音名を数字で表記していたことや、短歌で用いられた五七調のやまとことばを採用したり、「きみ」(主、聖主、御主、聖王、天主)「おほきみ」(主神、天主、大主、大君、大神、天主聖父)など、キリスト教を伝えるために天皇制用語を選択したことなど、新しい発見がありました。
特に、ドイツ系聖歌集「公教會聖歌集」がフランシスコ会宣教師によって編纂・発行された歴史と、ゲレオン・ゴルドマン神父がドイツ・フルダ管区から来日され、その後聖グレゴリオの家の創始者となった不思議な縁にも驚きました。
そして、この講習会では聖グレゴリオの家聖歌隊が、実際に聖歌を実演してくださったことも、より日本語の聖歌について理解を深めることができましたことも感謝します。
研究部門としてもまた、こうした講演会を通じて、グレゴリオ聖歌の研究のみならず、日本語の讃美歌・聖歌の歴史や、新しい創作音楽などについても学ぶ機会を増やしていきたいと考えています。



講師:松橋輝子(まつはしきこ)
東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院音楽研究科音楽文化学専攻音楽学研究分野博士課程修了。2022年3月に博士号(音楽学)取得。卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞受賞。イエール大学にて研鑽を積む。2019年度カトリック大学連盟奨学生。2020年4月から2022年3月まで日本学術振興会特別研究員(DC2)。
現在、東京藝術大学非常勤講師、桜美林大学非常勤講師、日本女子体育大学非常勤講師を務める。
主著に『日本の教会に響く歌――カトリック会衆歌の系譜と意義』(桜美林大学叢書、2025年9月)、論文に「カトリック教会の会衆歌の歴史」「近年の研究動向からみる日本におけるキリスト教音楽研究の行方」(共著)他がある。キリスト教系のウェブマガジン「AMOR―ひだまりの丘」において「聖歌の宝」を連載中。


